世界を支える技術の魂・現場で磨かれる一気通貫の誇り

三井金属グループとして、非鉄金属製錬、電子材料製造設備、そして特殊環境下のパイプ事業など、多岐にわたる分野で社会インフラを支える三井金属エンジニアリング株式会社(MESCO)。今回は、世代や部署の異なる3名の社員に、会社ならではの技術力や、現場で培われるエンジニアの矜持、若手の成長について語り合っていただきました。

座談会メンバー紹介

U.S

エンジニアリング事業部 技術統括部 機械部

若手ながらマレーシアへの海外派遣を経験するなど、機械設計・施工の現場で急成長中。過去の資料を学びつつ、現代に適した設計思想の構築に励む。

H.T

エンジニアリング事業部 技術統括部 電気計装部

管理職としてグループを統括。電気設計から施工、試運転までを一人で完結させる一気通貫のスタイルを体現し、グローバル案件も数多く手掛ける。

N.A

パイプ・素材事業部 工事部

海底送水管や山岳、吊り配管など、特殊環境下でのパイプ施工におけるスペシャリスト。豊富な現場経験をもとに、後輩への技術継承に注力している。

世界を支える技術の魂・現場で磨かれる一気通貫の誇り

三井金属エンジニアリングにしかない技術力と専門性の誇り

自社の「技術力」について、どのような部分に誇りを持たれているか教えてください。

U.S

強みは、非鉄金属製錬や自動化機械、そして最近需要が急増している銅箔関連の電子材料製造設備など、特定の分野において極めて高い専門性とノウハウを持っていることだと感じています。

H.T

たしかに、各分野にスペシャリストがいて、それらが融合してオールラウンダーとして機能しているのが良さですよね。私のいる電気計装部でも、設計、見積もり、施工、試運転までを一人で完結させる「一気通貫」の体制があります。これは他社のように工程ごとに細分化されている組織にはない、大きな強みだと思っています。

N.A

一気通貫という点では、パイプ部門も同様です。部門ごとに役割は分かれていますが、営業から設計、製造、施工まで一貫して対応しています。特に海底送水管や山岳配管や吊り配管など、他社が対応しないような特殊で難易度の高い環境での実績はまさに唯一無二だと思います。私たちが携わった仕事が、地域のランドマークや社会インフラとして機能していくのをトータルで理解できるのは、この仕事の醍醐味です。

U.S

山岳地帯などの過酷な環境に対応できるのは、本当にすごい強みですよね。上司からも「スペシャリストであると同時に、ジェネラリストであれ」とよく言われますが、部門を超えて共通する思想なのだと感じました。

H.T

グローバル展開も強みの一つですね。若いうちから海外へ行くチャンスがあり、そこで得た経験値を国内案件にフィードバックするサイクルができています。

U.S

たしかに若手でも海外出張へ行かせてくれたり、裁量を持って仕事を任せていただける点もこの会社ならではの強みですね。

私も2年目でマレーシアへ行かせていただきました。国内では当たり前に伝わる意図が、海外では工夫しないと伝わらない。現場での指示出し一つとっても、日本とは違う難しさがありましたが、その対応力が身についたのは大きな財産です。

N.A

パイプ部門は国内案件が中心なので、若いうちから海外で揉まれる経験は素晴らしいですね。言葉や習慣が違う中で0から10までやり遂げる力は、エンジニアとして非常に頼もしいと感じます。

U.S

現地ではキャリアに関係なく一人のエンジニアとして見られます。自分の指示一つで現地のワーカーさんが動き、設備が形になっていく。その責任の重さに最初は震えましたが、苦労して伝えた設計意図が理解され、現場がスムーズに回り始めた瞬間の手応えは忘れられません。若手にこれほど濃密な成功体験の場を与えてくれること自体が、当社の何よりの強みだと肌で感じました。

現場の醍醐味。「教科書通り」を超える瞬間、エンジニアのスイッチが入る

思い通りにいかなかった現場経験を通して見つけた、「面白さ」や「学び」についてお聞かせいただけますか?

H.T

エンジニアの仕事は、デスクでの設計が半分、現場での「予期せぬ事態への対応」が半分だと思っています。正直に言って、事前の計画通りに100点満点で進む現場なんて、まずありません。でも、私はトラブルが起きたとき、壁にぶち当たった時こそ、一番ワクワクするんです。

U.S

トラブルを楽しめるというのは、すごい境地ですね…!

H.T

もちろん、その瞬間は必死ですよ。でも、例えばお客様から今まで経験したことがないような高度なプログラミング制御を要求されたり、現場で設計上の矛盾が発覚したりしたとき、「じゃあ、どうすればこれを解決できるか?」と脳をフル回転させている時間は、エンジニアとして最も純粋に仕事を楽しんでいる瞬間かもしれません。壁が高ければ高いほど、それを乗り越えた時の快感は大きいですから。

N.A

H.Tさんに共感します。私も、順調に終わった現場より、苦労して泥臭く這い上がった現場の方が、20年以上経っても鮮明に覚えていますね。特に、自然を相手にする現場では、人間の想定なんて簡単に打ち砕かれます。

U.S

N.Aさんの経験された、想定外の現場について、ぜひ詳しく伺いたいです。

N.A

3年ほど前、海底送水管の海上工事を行っていた時のことです。その地域の1年間の気象データを分析し、最も波が穏やかな時期に布設を行うための段取りを組みました。しかし、着工すると南岸低気圧の影響で3メートルを超える荒波が押し寄せ、仮設盛土等が目の前で流されていきました。

U.S

それは…言葉を失いますね。その状況からどう立て直したのですか?

N.A

「起きてしまったことは仕方がない。今できる最善は何か」とすぐに頭を切り替えました。被災している最中から、復旧のための資材手配と次のステップの段取りを開始したんです。結果として、早期に体制を立て直し、プロジェクトを完遂させることができました。自然の猛威を前にして、自分たちの無力さを知ると同時に、それでも立ち上がる「現場のリカバー力」の重要性を身に染みて学びました。

U.S

お二人のスケールの大きな話に比べると、私のはまだ小さな経験ですが、現場での寸法の違いには驚かされました。設計図面では完璧に収まっているはずなのに、現場に行ってみると、お客様が新しく設置した別の設備が干渉していたり、建屋の寸法が微妙に違っていたり…。

H.T

それはエンジニアの「あるある」ですね(笑)。いざ現場に持ち込んだら、あれ?全然うまくいかないってことはありますね。

U.S

はい。その時、設計図を書き直している時間はありませんでした。その場で「このパーツをこう加工すれば収まる」「ルートをこう変更すれば機能は維持できる」と即断即決を迫られる。あの緊張感の中で、どれだけ柔軟にリカバーできるかが、現場で働くエンジニアの真価なのだと学びました。

H.T

U.Sさんがそこで「じゃあどうするか」と考えたことが素晴らしい。現場では、過去のデータにないことが平気で起きます。だからこそ、現場に立つ人間は、常にお客様の一歩先を予測して、「こうなるかもしれない」という余裕を持った設計思想を持つことが大切です。それが提案型のエンジニアリングにつながります。

失敗を「成長」の糧に!若手の背中を支える先輩たちの懐深き眼差し

若手の時に失敗はしましたか?失敗したとき、先輩や上司はどうフォローしてくれましたか?

U.S

私は今、まさに毎日が失敗の連続です。ただ、当社の教育で特徴的なのは、ミスをした際に上司がすぐに答えを教えないことですね。まずは「原因、対応方法、再発防止策を自分で考えること」と。常に自分の考えに「根拠」を持つよう指導されています。

その上でフィードバックをいただけるので、一つ一つの失敗が確実に次に活きる経験になっています。

H.T

U.Sさんの上司が「考えさせる」のは、最後には必ず守るという自信があるからでしょうね。

実は私も若手の頃、監視システムの更新中に通信ケーブルの切り替えをミスして、全設備の通信を止めてしまったことがあるんです。でも、そんな時でも上司は全く慌てず、「まずはここを確認してみよう」と、過去の経験から冷静にヒントをくれたんです。

N.A

お二人の話を聞いていて、それこそが伝統だと改めて感じます。私も若い頃は失敗もしましたが、先輩たちはあえて自由にやらせてくれたんですよね。

H.T

そうですね。成長のためにある程度の責任を持たせてくれて、本当に行き詰まった時にだけ絶妙なヒントをくれる。この距離感が心強いですよね。

N.A

失敗して初めて「段取りの重要性」や「技術の根拠」が血肉になりますから。私たちベテランの役割は、答えを示すことではなく、U.Sさんのような若手が自分の頭で考え、自立できるまで、一歩引いて「最後の砦」として見守ることだと思っています。

先輩から受け継ぐ「技術の魂」と次世代への昇華

長年培われてきた膨大な実績がありますが、熟練のベテランから受け継いだ技術について教えてください。

N.A

パイプ部門には、バブル期などの過酷な時代に先輩方が人海戦術で成し遂げた仕事がたくさん残っています。例えば、スキー場の山小屋へ水を送るための高圧山岳配管。極寒の中で凍結させず、凄まじい圧力をかけて水を送るシステムを、今ほど機械が発達していない時代に作り上げている。補修で行くたびに「当時の人はどうやってこれを?」と驚かされます。

H.T

それはすごい。分野は違えど、プロフェッショナルな継承が行われているんですね。

N.A

先輩から教わったのは「「できない」と言うのではなく、「どうやったらできるか」を考えてから仕事を進める」ということです。この思考が私の根底にあります。

H.T

私も過去の計算書を参考にすることが多いですが、当時はAIもCADもない時代。本を読み込み、手計算でプラントを作り上げてきた大先輩たちの財産は計り知れません。私の分野では、銅の板(薄板)を何百枚も機器からつなぎ合わせていく複雑な設計があるのですが、かつては2Dの図面で気が遠くなるような作業をしていました。それを先輩から学び、今は3D CADを取り入れて改善し、さらに精度を高めたものを後輩に引き継ごうとしています。

U.S

私はまさに、その技術を引き継ぐ立場です。上司からは「ただ真似をするだけでは、より良いものは生まれない。自分の設計思想を持って適用しよう」と厳しくも温かい指導を受けています。過去の資料を大切にしつつ、今の時代に適した新しい手法を取り入れて、自立した設計者になりたいと思っています。

N.A

昔の手書き図面や計算書には、当時の人の執念が宿っています。U.Sさんのように、新しい技術と古い知恵を融合させてくれる若手がいるのは、本当に心強い。これからもより素晴らしい技術へ進化させていってほしいですね。

ベテランから若手まで、世代を超えて語り合われたのは、「現場への敬意」と「変化を恐れない挑戦心」でした。三井金属エンジニアリングの強みは、単なる設備の導入ではなく、そこに通う「エンジニアの血の通った思想」にあります。彼らが紡ぐ技術の糸は、海底から山岳、そして国境を越え、今日も世界のどこかで誰かの暮らしを支えています。